第十五章 申込出来ないかも

土曜日。三週連続で来ると、段々慣れてくる。営業の他の人からも名前を覚えられたようだ。前回は4時間弱いたことがあったので、長居客とか言われているかもしれない。

「いらっしゃいませ」

「今日もFP相談の2回目ということで、早速始ましょうか。」

「おはようございます。今日はいろいろと用意ができましたので、良いお話ができると思います。」

ライフプランを作ってくれていた。

「ご主人様が定年まで働かれて、奥様は途中、育児休暇などで断続的になる場合を想定して考えました。ご主人様の年収の上昇分を0円としています。奥様も育休後はパートで100万円と仮定しております。それ以上働けば、それだけ余剰金が出てきますので、あまりここは突っ込まないでください。保険は見直しと追加を考えますが、家の予算が決まって、それから必要な額が決まっていくという流れですから、後にしましょう。」

「ご主人様へ。質問があります。今まで、大きな病気や怪我で入院したことはありますか?」

「実は、皮膚の病気で検査入院をしました。今では薬を飲んでいます。」

「分かりました。え、それでは、最近までで、車や奨学金などの借入などはございますか?」

「ありません。」

「それでは奥様。同じく、大きな病気などはございましたか。」

「ありません」

「借り入れも?」

「奨学金がありますが、親が返してくれていると聞きまして、いつまでか知りません。」

「分かりました。」

「ご主人様の場合は、住宅を購入するときに審査がありまして、そこで質問などが来る可能性があります。ちょっと先に調べた方がいいかも知れません。奥様の奨学金についても同様で、昔は奨学金は綺麗な借金ということで聞かれませんでしたが、今では個人信用情報に載るとか載らないとか、いろいろな説が出ています。そこも書けば審査の対象となりますので、額を知っておいて頂きたいとおもいます。ただ、100万以内くらいではないかと思いますが。」

「どうしたらその審査がわかるのですか?」

「はい、住宅のローン審査の2回目「本申込」(第七章参照)に際し、健康状態を申告する『団体信用生命保険」の申告書があります。それを書いて出すと、審査の合格かどうかが一週間ほどで分かります。この本申込は、本来は契約などが終わってからやるものですが、それだけ先行してやっておいた方がいいですね。万一、契約後ですと印紙代の1万円とか、預けた手付金の振込手数料など実害が出てきてしまいますから。

「そうですか。分かりました。やってみます。」

「あ、もう申込する流れでいらっしゃっていますね。」

「いやその」

隆の気持ちが落ち込んでいることはわかった。ちょっとしたつまづきだった。

「それならば、具体的にその検査入院になったことを教えてもらえませんか。私も生命保険の会社ですから、過去の事例から分かるかも知れません。生命保険の審査ですから、命に関わるもの出なければ、それほど恐れる必要はないです。」

後ろから、団信(団体信用生命保険)告知書がスッと届いた。細かく緑色で書いてある。

「この項目に該当しなければNOで。入院して、結果がどうだったか。なるべく欄外に詳しく書いていただいた方が印象がいいです。分からない部分は持ち帰って書いてきていただいて結構です。」

「奥様は、奨学金については、実施時期、完済予定年、今の残額とそのエビデンス。ご両親様からメールで償還表を送っていただいた方がいいと思います。」

結構本格的に大変になりそうだ。

幸い、隆の方は多分大丈夫な内容だったので、落ちることはまずないそうだ。

知子も卒業してから10年経過しているので額は減っているだろうし、一気に返すことだってできるから大丈夫そうだ。

「まさか、買えないかもとは思っていなかったね。」

結構汗をかいたようだった。

FP相談は、かなり脱線していたが、ローンをなるべく定年退職する前に返し終わることが大事。貯金より借金が先ということ。そして老後の資金を十分に貯めるには退職金に手をつけずにいること。奥様のパートの給与を10年間貯めていくことで大丈夫とのことだった。分かりやすい。車を買うなとか言われると困る。そして、予算は5,000万でも大丈夫だとのこと。額は大きな家を買うと、貸した時、売った時もそれだけ多く返ってくるので、高い家を買ったらたちまちアウトということではない。誰も欲しく無いような不便な安い家を買う方がリスクが高いという。自分が欲しい家なら、30年後、誰かが欲しい中古住宅だろう。

「5,000万くらいであれば、将来、それほど頑張って切り詰めなくても大丈夫なところです。6,000万以上だと、すぐに貯金を取り崩すことになりストレスがあります。奥様も結構頑張って働いて繰上げ返済した方がいいです。ということで、5000万台あたりで家探しをお勧めします。そして、年々その予算は下がっていきます。今年であればと付け加えておきます。」

「ありがとうございました。」

とても有意義な時間が過ごせた。気持ちは晴れないが、一山超えたので、大丈夫なような気がしてきた。

営業マン「お疲れ様でした。どうでした。結構いいお話聞けたのでは?2時間半経ってますから。」

「おお」

「FPさんは帰られましたよ。ちょっと本気出してしまったので、時間がかかりすぎたと言って次を急いでいました・・。」

「ありがたかったです。厳しいことも言われましたが。」

それでは、予算は分かりました?このマンションは今プレ販売中なので、まだゆっくりと考えられます。まだ販売しておりませんので、今買ってくださいということではありません。どちらかというと売れません。価格感を教えていただけたら、またそれに合う間取りをお持ちして、資金の計算を行いましょう。

「7階、73平米、角 大体4780万円くらいでしょうか。これが高いとか安いとか、額が大きすぎて分かりませんよね。これを月々に直して考えると、賃貸マンションの家賃と似てきます。3LDKを借りるような感覚で、どのくらいならいいなという数値は相談の中でわかりました?」

知子「はい。できれば64歳までに終わらせたいので、30年でお願いします。そして変動金利の一番安いので。7階は怖いと思うので5階以下3階くらいがいいです。角でなくてもいいです。中の部屋でお願いします。駐車場を一台希望で、自転車置き場も一台希望です。ボーナスはいつなくなるか分からないので、0円で。そして問題が一つありまして。」

隆「私が病気で検査入院していまして、今でも薬を飲んでいます。それによりローンが組めないとなると諦めることになります。」

「分かりました。希望を持っていきましょう。結論はとにかく出しましょう。買えるのであれば買えるときに買った方がいい。それならば早い方が尚更いいです。分かりました。紙で印刷して、資金計算を幾つか作成しましょう。3分で一つ作れますので、ちょっとお待ちください。」

ちょっと長めに待たされたが、暫くするとパソコンを持ってやってきた。

「それでは、資金計算の授業に入ります。」

続く

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